○温泉資源の保護等に関する条例
令和4年3月15日
条例第6号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 温泉の保護等(第3条―第14条)
第3章 諮問及び聴聞(第15条・第16条)
第4章 雑則(第17条―第20条)
附則
草津町において、温泉は、歴史的にも、経済・観光面においても、そしてまた日常生活を営む上でも、欠かすことができない有用な天然資源である。
温泉が天然資源であるがゆえに有限である事実を踏まえると、地熱発電等の温泉資源の乱開発により、浴用・飲用として用いる温泉(熱・水量)を著しく上回る使用状態が現出した場合には、草津町民にとって、温泉の持続可能な利活用が妨げられるおそれがある。
また、乱開発等によってひとたび温泉の枯渇、湯量減少、湯温低下等の事象が生じた場合には、天然資源であるがゆえに、現状を回復することが著しく困難である。
そこで、草津町民が永年にわたって温泉の恩恵を享受し続け、利活用し続けることが可能となるよう、草津町が所有し、又は管理する温泉を適正に保護、管理するため、本条例を定めることとした。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、草津町民の生活の礎となっている温泉を地熱発電等の温泉資源の乱開発から保護し、草津町民が浴用、飲用そして観光資源として温泉を利活用し続けることができるよう、草津町(以下「町」という。)が所有し、又は管理する温泉資源を適正に保護し、管理することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「温泉」とは、草津町温泉使用条例(平成16年草津町条例第22号)第1条に規定する町が所有し、又は管理する温泉をいう。
第2章 温泉の保護等
(土地掘削の許可)
第3条 温泉を利用する目的で土地を掘削しようとする者は、この条例の定めるところにより、町に申請してその許可を受けなければならない。ただし、当該許可には、町が必要と認める条件を付し、又はこれを変更することができる。
(1) 申請者が温泉法(昭和23年法律第125号)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者であるとき。
(2) 申請者が温泉法第9条第1項の規定により同法第3条第1項の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者であるとき。
(3) 申請者が法人である場合において、その役員又は従業員が前2号のいずれかに該当する者であるとき。
(許可の基準)
第4条 草津町長(以下「町長」という。)は、前条第1項の許可の申請があったときは、草津町温泉使用条例第1条の規定により、温泉を保護し、その濫用を防止し、もってその利用の適正を図るため、当該申請が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、同項の許可をすることができる。
(1) 当該申請に係る掘削が温泉の湧出量、温度又は成分に影響を及ぼさないものであると認めることができないとき。
(2) 地熱発電等浴用・飲用として用いる熱・水量を著しく上回る温泉の利用を目的とする場合であって、前号に該当するとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、当該申請に係る掘削が公益を害するおそれがあると認めるとき。
2 町長は、前項の許可をしないときは、延滞なく、その旨及びその理由を申請者に書面により通知しなければならない。
(許可の有効期間)
第5条 第3条第1項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して1年とする。
2 町長は、第3条第1項の許可に係る掘削の工事が災害その他やむを得ない理由により当該許可の有効期間内に完了しないと見込まれる事情があるときは、当該許可を受けた者の当該事情の存在を疎明する資料を添付した申請により、1回に限り、1年を限度としてその有効期間を更新することができる。
(許可を受けた者の地位の承継)
第6条 第3条第1項の許可を受けた者の地位の承継については、これを認めない。
(工事の完了等の届出等)
第7条 第3条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る掘削の工事を完了し、又は廃止したときは、書面で、遅延なくその旨を町長に届け出なければならない。
(許可の取消し)
第8条 町長は、次に掲げる場合には、第3条第1項の許可を取り消すことができる。
(3) 第3条第1項の許可を受けた者が温泉法の規定又はこの条例の規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
(緊急措置命令等)
第9条 町長は、温泉を利用する目的で行う土地の掘削に伴い発生する温泉の湧出量、温度又は成分に影響を及ぼすことを防止する緊急の必要があると認めるときは、当該掘削を行う者に対し、掘削を停止すべきことその他必要な措置を命ずることができる。
2 町長は、温泉を利用する目的で行う土地の掘削に伴い発生する可燃性天然ガス・火山性ガスによる災害の防止上緊急の必要があると認めるときは、当該掘削を行う者に対し、可燃性天然ガス・火山性ガスによる災害の防止上必要な措置を講ずべきこと又は掘削を停止すべきことを命ずることができる。
(原状回復命令)
第10条 町長は、第3条第1項の許可に係る掘削が行われた場合において、当該許可を取り消したときは、その許可を受けた者に対して掘削を停止すべきこと及び原状回復を命ずることができる。
(無許可者に対する原状回復命令)
第11条 町長は、第3条第1項の許可を受けないで、温泉を利用する目的で土地を掘削した者に対しても、掘削を停止すべきこと及び原状回復を命ずることができる。
(隣接町村長への協議等)
第13条 町長は、第3条第1項の規定による許可をする場合において隣接町村における温泉の湧出量、温度又は成分に影響を及ぼすおそれがあるときは、あらかじめその隣接町村長に協議しなければならない。
(他の目的で土地を掘削した者に対する措置命令)
第14条 町長は、温泉を利用する目的以外の目的で土地が掘削されたことにより温泉の湧出量、温度又は成分に著しい影響が及ぶ場合において公益上必要があると認めるときは、その土地を掘削した者に対して、掘削の停止その他その影響を防止するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
2 町長は、法令の規定に基づく他の行政庁の許可又は許可を受けて土地を掘削した者に対して前項の措置を命じようとするときは、あらかじめ当該行政庁と協議しなければならない。
第3章 諮問及び聴聞
第4章 雑則
(報告徴収)
第17条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、温泉を利用する目的で土地を掘削する者に対し、土地の掘削の実施状況、可燃性天然ガス・火山性ガスの発生の状況その他必要な事項について報告を求め、草津町内各源泉について、温泉採取の実施状況、温泉の湧出量、温度、成分又は利用状況、可燃性天然ガス・火山性ガスの発生の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(立入検査)
第18条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、温泉を利用する目的で行う土地の掘削の工事の場所、温泉の採取の場所又は温泉利用施設に立ち入り、土地の掘削若しくは温泉の採取の実施状況、温泉の湧出量、温度、成分若しくは利用状況、可燃性天然ガス・火山性ガスの発生の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問させることができる。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。